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本レーベルは、Excite Music Store及びモバイルコロムビア上で先行独占展開され、配信される楽曲は、国内で入手が困難な高いクオリティのアイスランド楽曲を幅広いジャンルで集めていきます。
レーベルリリースの第1弾は、ヨーロッパでは名高いアイスランドJAZZを展開、第2弾は、アイスランドPOPS、第3弾は、アイスランドクラブミュージックを展開していく予定です。
小倉悠加
(おぐらゆうか Yuka Ogura)
70年代半ば洋楽に目覚め、単身アメリカへ留学。大学時代から来日アーティストの通訳に従事し、レコード会社勤務を経てフリーに。以来、音楽業界で幅広く活動。カーペンターズの解説の殆どを書いているためカーペンターズ研究家と呼ばれることも。2004年自らアイスランドの音楽を扱うアリヨス・エンタテイメントを設立。ミュージック・ペンクラブ会員。
小倉悠加

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無意識の中に潜む男女差別:ジェンダー・ギャップのないアイスランド
いつもICELANDiaブログを読んでいただき、有り難う御座います。

昨日の世界競争力ランキングに引き続き、今回は世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数」の話です。

「ジェンダー・ギャップ指数」とは、つまり男女差別指数のことで、日本の順位は58カ国中第38位という低いもの(ハッキリ言ってアラブ諸国並み)。アイスランドは他の北欧諸国と同じように男女差別がとても低く、世界第3位。58カ国中第38位という日本の地位と共に、アイスランドの第三位というのは私の実感とさして相違のない指数でもあります。ちなみにアメリカは17位で、毎年1回はアメリカへ行く身なので、アイスランドと日本の中間というのは、まさに実感するところです。

私自身長年女性をやっているので、男女差別は生まれてからずっと良くも悪くも日本の社会の中のあちこちで感じてきたことで、日本が下位に位置するのは驚くことではありません。社会のルールでは表向きには男女平等を謡っても、実社会では、そして家庭内でも、男女差別は相変わらずのところが多々あります。そんな日本の社会に居ると男女差別が当たり前としてすり込まれるので、正直なところ私は北欧(アイスランド)で活動するようになり、初めて無意識に男女差別を当たり前と思っている自分に気づいて愕然としたことがあります。
 
例えば、こんな事がありました。アイスランドに出入りするようになって間もない頃、私はある人に勧められて、アイスランド外務省へ話をしに行きました。女性ひとりの小さなプロジェクトの話を、わざわざ外務省のような国の機関へ持っていくこと自体はばかられましたが、まぁそれは横に置いておくことにしましょう。
 
私は予定通り外務省へ行き、受付とセキュリティを通って、アイスランド外務省の日本担当に会いました。私の横には背広を着た紳士が座り、私の目の前にはスーツ姿の女性が座っています。日本の慣習がぬけない私は、それを半ばジョークのように言いながら名刺を取り出し、まずは男性に差し出したところ、その男性から、まずは女性に手渡すよう即されました。”そうそう、ここはヨーロッパ。レディ・ファーストだもんねぇ”。そして名刺交換を済ませ、男性の方を向いてお話し始めると、まずは口を開いたのが女性の係官でした。私は心の中で、”なるほど、エライ人は口を開かないのか”などと思っていたら、どうもその話しぶりから、私の印象とは違うのかもしれないということを感じ始めました。

そう、外務省の日本担当はこの女性であり、男性は秘書でした。秘書に向かって発言をする私を見て、もしかしたら男好きと思われたかもしれません。日本人の私にとって、男性が主役であり女性が秘書であることが無意識にすり込まれていたと知った時、正直なところ愕然としました。私の中に男女差別は無いと思っていたのに、見事に男女差別が当たり前のようにすり込まれていたことを知る結果となりました。

その後、文部科学省、運輸省、観光省等、数々の政府間公機関に顔を出しましたが、現在までその担当係官はことごとく女性が上司で男性が部下でした。観光省へ行った時も、受付の次に通されたのが男性職員のオフィスで、一通り話しをし終えた後に「それならもっと適任者がいる」ということで、その後女性職員のオフィスに通されました。内心”おっと、私の提案は格落ちになって、部下の女性に回されたかぁ”と思いましたが、それは全く逆で、観光省では女性でないと出世できないと言われているほど女性幹部が多く、私が最終的に会ったのは観光省のトップの女性でした。

外務省のアジア全域担当こそ年配の男性でしたが、とにかく、役職の位はアイスランドに限っていえば日本人の感覚でいくと間違う場合が多く、そんなこんなで懲りたというか、やっと事態が飲み込めた私は、関係省庁へ行くとまずは女性の方が位が上であろうことを想定して、話しを始めることにしています。・・・で、それ以来、その予測は外れたことがありません。

また、日本でこうして女性ひとりでこのような物事をしていると、奇異な目で見られたり、セクハラまがいの発言もあったりしますが、アイスランドでは、日本女性ひとりの会社だからといって、一度も不愉快な思いをしたことがありません。外人で、それも女性のプロジェクトだからということが理由で、官庁に門前払いにされたり、不愉快な発言をされたりしたことは、本当にビタ一度もないどころか、このような地道な活動を行う私に対して感謝を示されることも多く、だからこそ余計にアイスランドの人々のためにこの日本で努力しようと思えるのです。

そのような社会なので、アイスランドでは男性の家事も子育ても、あまりにも当たり前。私が知る限り、家事は奥さん任せという人は存在しませんし、子育ても男性も責任を負ってごく当然。当然すぎて、かなり社会的地位のある男性に向かって「あなたが子供を迎えに行くの?奥さんは?」などと質問しようものなら、アホちゃうか、という顔をされます。
音楽業界から一目置かれるあるCDショップのオーナーは2人の子持ち。奥さんと共働きです。「そりゃ店の閉店は午後6時だよ。でも保育園は6時に閉まるんだから、その前に子供を迎えに行って当然だろう。店のみんな理解してくれてるよ。妻は激務で残業が当たり前だから、時間の自由が効く僕がやって当たり前じゃないか。」保育園のお迎えをやっている親であれば、至極当然、納得のいく発言です。でも、このような認識の日本の男性がどのくらいいるでしょうか?それが当たり前でなければいけないと知りつつ、そう考えようとしつつも、日本女性で、子育て=女性、という図式が刷り込まれている私は、やはり彼の発言に驚きを覚えざるを得ませんでした。 

男女差別は社会が悪い、男性の考え方の改革をと言われますが、日本の女性は知らず知らずのうちに男女差別を当たり前だと無意識に受け入れているのかもしれません。ごく普通の主婦とはかけ離れているような活動をしている私でも、無意識に男女差別を容認していたようです。心から差別のない社会を望むのであれば、外を見て、自身を見つめ直し、まずは自分自身とその周囲から草の根で変化を起こしていかないといけないなぁと、アイスランドとのお付き合いをするようになり、つくづくと感じています。(小倉悠加)
無意識の中に潜む男女差別:ジェンダー・ギャップのないアイスランド_c0003620_22263649.jpg無意識の中に潜む男女差別:ジェンダー・ギャップのないアイスランド_c0003620_13213440.gif
 
 
by icelandia | 2005-05-29 12:53 | アイスランドってどんな国? | Trackback | Comments(9)
Commented by kawahara at 2005-06-06 18:58 x
日本は「ジェンダーフリーは亡国の思想」などとのたまう政治家が実に多いですからどうしようもないですね。人口の半分を貶めたままの国家がどうなっていくか。どうでしょうね。
Commented by icelandia at 2005-06-07 16:43
コメントを有り難う御座います。人口の半分を構わない国家は、衰退でしょう。時代錯誤もいいところで、世界の基準と合わないし。経済的な繁栄や人口の増加が本物の幸せにつながるとは思えませんが、一度ドッカーンと何かが崩れる前に、手を打ちたいものです。子供達のためにも住みやすく、人間らしい生活のできる国であってほしい、と。
Commented by Mizuki at 2005-06-13 16:32 x
わたしも、レイキャヴィクにいた時に、「ほんっとうに男女平等だなぁ」と感じる機会がたくさんありました。社会的地位や家事・育児の分担などの面もそうですが、わたしが特に感じたのは、女性の知性が尊重されていることでした。アイスランドの女性は、知的で自分の意見を持ち、独立心旺盛な精神的に成熟した人が多いと思います。そしてそういう女性におおいに魅力を感じて尊敬するアイスランド男性が多い、というのがわたしの印象です。このことをアイスランド人男性に話すと、必ず「そんなの当たり前でしょ!」という反応が返ってきます。日本だと、そういうすてきな女性は、男性から敬遠されるというか、疎まれることもけっこうあるというのが現状だと思います。でもこれは男性の意識だけの問題ではありませんよね。ゆうかさんがおっしゃるとおり、女性・男性両方で意識を変えていことが大切だと思います。アイスランド人の男女平等意識は、日本の大きなお手本になるのでは、とよく感じます。
Commented by lunasette at 2005-06-29 22:16 x
はじめまして!

こちらのブログには偶然たどりついたのですが、記事をとても深く読ませて頂きました。

記事でも触れられたように、日本で生まれ育った女性たちの多くは、差別的な扱いを受けたとしても許容してしまう傾向が強いように思います。そのせいか、むしろ声を上げた人間は「変わり者」などのマイナス評価を受け、まともに取り上げてもらえないこともしばしば。

でも、ジェンダーでイヤな思いをしているのは必ずしも女性だけではないようです。性差別の多くの被害者は女性ですが、男性の友人に聞くと彼らも「男は強くなくてはならない」とか「男は一生働いて家族を養わなければならない」といったようなジェンダーによる縛りに圧迫感を感じているようです。やはり、男女共に生きやすい社会にするためには、双方が力をあわせて社会を変えていかなければいけませんね。
Commented by もみじ at 2014-12-15 12:48 x
北欧を男女平等が進んでいるとおっしゃいますが兵役が男性にだけ課せられてることをどう思いますか?
私はジェンダー主義なので女性を兵士にすることには反対です、しかし良心的兵役拒否制度は女性も参加して社会奉仕活動を一緒にやるくらいはやればいいのでは?と疑問に思ってしまいます、そこが問題視されないのは無意識以前の男子に対する強烈なジェンダー意識の証拠ではないでしょうか?
Commented by 闇将軍の生放送 at 2015-02-20 11:58 x
日本は平等になりつつあるが、女性は必要以上に権利を主張している。
その辺りについて、私は批判的である。
詳しくは小生の放送にて質問等を受け付けるつもりだ。
なぜなら小生の曽祖父祖父は地方議員でした。政治とは国民のために闘うことにあります。
経済優先そして国民の生命を優先する公平なる富の再分配による社会構成こそ
が日本の理想社会だと私は思います。この日本のために闘う政治を構築すべく
小生も世襲としていつの日か地方から立ち上がるつもりです。どうぞよろしくお願いします

Commented by ひめそめ at 2015-03-01 01:17 x
某、田島ナントカみたいな方が声高らかに主張されると、なんだかなぁって感じになります。
お互いを思い遣る心が大事でしょう!

…って、ありがちな意見ですかね^^?

愛媛県 ひめそめ 44歳 政治家
Commented by 通りすがり at 2015-10-13 04:05 x
男は金。女は金を持つ必要はないと思います。そして、女は家事や育児、子育てをしとけばいいです。
こうゆう話にはほぼ100パーセント、女は、女は差別されていて、男の考え方が変わらないといけないような発言をする人が多いです。
でも残念ながら、女こそが考え方を改めるべきです。男の金目当てで専業主婦になりたい女がどれだけ日本にいるか。
あなたは女だから知ってるでしょう。
そして、社会保障だって、災害時だって、離婚裁判だって全て女に有利な国になっている、女性優遇社会が現実の日本です。
このブログの人は何もわかっていない。
女は男に守られているという感謝の気持ちをもっと持って、戦争だって、男だけが徴兵されてたんですよ。女はもっとそこらへんも踏まえて発言するべき。
男は金を求められています。それは多くの女に聞けばわかる話し。女は男に金を求めている。なら、女は家事や育児をしとけばいいんです。もし、このコメントを掲載しないようなら、逆に痛いところ突かれたと、ブログの方は思ってるのでしょう。
男は金。女は体。以上。
Commented by ラム at 2016-01-29 13:15 x
アイスランドは軍事力を保持せず、徴兵制度を施行したこともない国です。 

北欧の他の国を見ると、スウェーデンは徴兵制度は既に廃止、ノルウェーは徴兵制度がありますが、女性も徴兵の対象となっているようです。
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