人気ブログランキング | 話題のタグを見る
execitemusic
本レーベルは、Excite Music Store及びモバイルコロムビア上で先行独占展開され、配信される楽曲は、国内で入手が困難な高いクオリティのアイスランド楽曲を幅広いジャンルで集めていきます。
レーベルリリースの第1弾は、ヨーロッパでは名高いアイスランドJAZZを展開、第2弾は、アイスランドPOPS、第3弾は、アイスランドクラブミュージックを展開していく予定です。
小倉悠加
(おぐらゆうか Yuka Ogura)
70年代半ば洋楽に目覚め、単身アメリカへ留学。大学時代から来日アーティストの通訳に従事し、レコード会社勤務を経てフリーに。以来、音楽業界で幅広く活動。カーペンターズの解説の殆どを書いているためカーペンターズ研究家と呼ばれることも。2004年自らアイスランドの音楽を扱うアリヨス・エンタテイメントを設立。ミュージック・ペンクラブ会員。
小倉悠加

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
ミニ・バブルの崩壊を恐れるアイスランド市民
 今回、3週間ほどじっくりとアイスランドに滞在して印象に残ったのは、良くも悪くも小さな国は分かりやすい、(薬の)まわりが早いということでした。さながら「経済オンチでもわかる経済の仕組み」の実験場のような感じ。

 というのも、アイスランド到着直後にあちこちから聞いたのが、「ミニバブルが崩壊するなじゃないか」「今度経済破綻したら立ち直れるのか自信がない」「浮き足立たないよう言い聞かせ、戦々恐々としている」等、ミニバブルを懸念する異口同音の声。

 ご存知の通り、アイスランドは2008年10月に経済崩壊し、やっと崩壊状態から抜けだそうかというところです。それもIMFの力を借り、海外の負債でチャラ(デフォルト)にできるものはチャラにし、国内産業(=観光業)の育成に力を入れ、青息吐息でここまできています。そして、経済全体がどうやら回るようになってきた気配が出てきたのが、去年2011年のことでした。

 なのにもうバブルかとも思いますが・・・。
 
 現在、最も経済復興に寄与している要因のひとつに、激烈な観光客の増加があります。

 今年、観光業が堅調である背景には、2-3年前から繰り広げている観光キャンペーンが魅力的なことに加えて、経済崩壊でISK(アイスランドクローナ)の貨幣価値が落ちたため、物価が安いアイスランドへ行って観光を!と人が押し寄せ、ISK高の頃に比べると、ユーロ圏内からの観光客が2倍とも3倍とも言われています。

 実際、観光客の多さには私も目眩がするほどでした。毎年音楽フェスの時期に行くので、5月末のアイスランドは久々でしたが、久々とはいえ、過去に訪れたことのある時期です。あの時の観光客の数から見れば、2-3倍どころではなく、20倍と言っても過言ではありません。

 もちろん観光客が多いのは地元経済の発展に寄与しますが、観光客が来る、借金して店を出しても儲かる、ホテル・ゲストハウスを作ろう、レストランを作ろう、土産物を開発しよう・・・と走り、それで経済が回るうちはいいけれど、これが度を過ぎるとバランスを崩します。
 そして一番恐いのが、ユーロ崩壊の兆しがあるため、ユーロが崩れれば、ISKの貨幣価値が持ち上がり、ISKが高くなればユーロ圏からの客は、再びパタリと来なくなることでしょう。

 今回の滞在中、私は政府関係者を含め、多種多様な職業の方々と、いろいろなことを話しましたが、ミニバブルを否定したのは政府関係者のみで、庶民でこの不安を口にしなかった方はいなかったほど、このことに懸念を抱く人は多かった。

 現在、日本は輸出や観光で苦戦中ですね。日本円が強いというより、他の貨幣の信用が落ちているため、消去法で日本円が残ってしまったためです。ユーロが下がり、ISKが上がり、アイスランドで同じことが起きても不思議ではありません。

 また、SankeiBizに「アイスランド 不動産熱 海外流出規制でマネー集中、バブルの萌芽 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120604/mcb1206040503007-n1.htm」という記事がありますが、不動産に関しては現在庶民生活を直撃しています。

 これは、不動産価格が上がったということだけではなく、家賃も上昇し、その上「貸し物件がない」という状況。

 レイキャヴィクの中心部、郵便番号「101」地区は不動産の貸し物件がほとんどありません。そんなものを捜すのは不可能だと言われています。物件があったとしても、家賃が高すぎるか、借りられるかの倍率が200倍というもの凄さ。

 しかし、貸し物件は存在しているのです。ただし、今までは地元住民に貸し出されていた物件が、観光客用の賃貸し・間貸しにまわされ、外人価格であるため、地元住民の経済状態では手が出せない。
 例えば観光でホテルに泊まることを考えると、バス・キッチン完備の部屋が1泊6千円程度であれば安いと考えることができますが、地元住民で、1日1万ISKを家賃として出せる人は多くないことでしょう。去年の平均所帯所得が約440万円なので、これでは三分の二が家賃に消えてしまいます。

 私があるサイトでザっと見たところ、常時貸し物件がレイキャヴィク市内・近郊で300-400件ほどありそうです。人口17-18万人の場所に、ホテル、ゲストハウスに加えて、観光客にそれだけの数の賃貸物件を出していること自体が、私には異様に映ります。これでは地元住民の賃貸物件が消えて当然か、と。

 表面的には経済が回り始めているように見えますが、そこにもやはりバブリーな一面が見え隠れし、アイスランド人自身も「我々はまだ懲りていないのか?」と疑問を投げかけます。

 小さな国だからこそ、何かが起こり始めると、その効果はテキメンですが、負の効果もまだドーンと押し寄せ、影響を受けます。

 観光に関わるあるビジネスマンが、感慨深げにこう言っていました。

 「アイスランドはね、小さな国なんだよ。観光客はありがたいけど、多すぎれば自然も経済も微妙なバランスが崩れてしまう。我々は「分(ぶん)」を知り、自分の背丈に見合った生活や経済活動をしていくべきことを、ここらへんで気づかないと、本当に取り返しがつかないことになる。そんな風に日々感じている。もちろん売上は倍増してるし、それはうれしい。でも同時に、それが不安や懸念の原因でもあるんだ」

(小倉悠加/ Yuka Ogura)ミニ・バブルの崩壊を恐れるアイスランド市民_c0003620_13213440.gif





                                                アイスランドからの旬な音楽を!↓




 
 
by icelandia | 2012-06-11 18:55 | アイスランドってどんな国? | Trackback | Comments(0)
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< アイスランドの音楽シーンは面白... シガーロス、サイン入りアルバム... >>
ブログトップ
外部リンク
ICELANDiaからのお知らせ
ツイッターやインスタでアイスランドの日常もご覧いただけます。Twitter Instagram
最新の記事
以前の記事
記事ランキング
検索
カテゴリ
タグ
最新のコメント
丁寧にお返事ありがとうご..
by Ikue Ikeda at 12:06
> Ikue Ikeda..
by ICELANDia at 01:51
はじめまして、池田です。..
by Ikue Ikeda at 21:50
ブログジャンル







Copyright © 1997-2008 Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - ヘルプ - エキサイトをスタートページに | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム