アイスランド・エアウエイブス2012(6):強風の夜はベッドルームコミュニティ音楽を堪能! |
師走に突入し、何となくわさわさしている感がありますね。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。 12月の寒い時期に考えるのもナンですが、来年の夏にICELANDiaではアイスランド・ツアーを特別企画していて、普通に旅行会社が出しているアイスランド・ツアー内容よりも、ちょこっとヒネリを効かせてあります。発表までにはまだ少し時間をいただきますが、ぜひお楽しみに! さて、今回は私が大好きなベッドルーム・コミュニティ・レーベル満載のレポートです! == 2012年アイスランド・エアウエイブス・レポート(6)== 11月2日 記録的強風の中、ヴァルゲイル、ニコ、ベン他、 最強のベッドルーム・コミュニティ・ライブを堪能! photos by Joshia Shibano クレジットが無い写真は小倉のスナップです (前回はこちら)アイスランドは風が強い国です。説明会の時にさんざん、「強風に注意してください」と言ったせいか、初めてアイスランドにいらした方々は、「ホ〜、強風っていうのはこんなにやっぱりスゴイものなのか!」と思ったらしいのですが・・・。 そうじゃないです!この強風は異常!! アイスランド・エアウエイブスが最も盛り上がる3日目の金曜日、外からは何やらスゴイ風の音が。私のFacebookには300名以上のアイスランド人が”友だち”になっていますが(ほとんど実際に面識があります)、普段およそ強風の話など見たことがないのに、やたら強風の話題が出てきている。 尋常ではなさそうなのでニュースサイトを見ると、案の定、もんのすごい風!用事があってアイスランド人数名と電話で話したところ、どうやらレイキャヴィク市内でも風速12メートル程度。北部では30メートルという異常な強風で、「用事が無いなら午後の遅い時感まで出ない方がいいよ」と言われたので、素直にそうすることに。 なんというか、もう風が台風並みなんです。強風に慣れているレイキャヴィク市民でも、突風に飛ばされてケガや打ち身になり、病院の救急がものすごい混雑だそう。くわばらくわばら。体重が軽い私は前へも進めないことでしょう。 後から尋ねてみると、40-50代の人でも、「あんな強風は僕の人生でも初めて!」と言っていたので、あれはホント異常でした。 そんな状況だったので、離れた場所のオフ会場へ行くのは自殺行為で、例えタクシーでも車のハンドルが風に取られて危ないため、これも得策ではないとしました。 前夜、年齢も顧みずに無理をしたため、この日は寝坊を決め込んで、てホテルの朝食を食べていません。なのでランチはしっかりとどこかに食べに出たい。幸いホテルのロケーションはいいので、周囲にいくらでも食べるところはあるけど・・・。 オフ会場のスケジュールを見てみると、ちょうど徒歩1分のところにあるレストランで14時からBorkoが演奏する。なので13時過ぎにレストランへ行き、ゆっくりとランチにしてからボルコを見ることにしました。 それにしても、たった10メートルかそこらの距離を進むのに、どんだけ時間かかるのか!強風で戻されたり、引っ張られたりして、普通なら走って10秒のところへ行くのに、3分はかかってた感じ。ひゃ〜。 ということで、レストランで注文したのがサーモン。前夜ほとんど何も食べていなかったし、朝食も食べてないので、ちょっぴり奮発。見た目よりも味がいいのです。アイスランドのサーモンは美味い!! そして時間にちょっと遅れて Borko の演奏が始まったけれど、何となく音が歯抜けな感じ・・・・。 「すいません、強風のためギタリストの到着が遅れています。到着次第、彼は演奏しますから」とのこと。文句は言えない。暴風だもん。楽器を持って、駐車場から会場へ入る間でさえ危ないと思う。 ニュー・アルバムのリリース直後ということもあり、会場は満杯。彼はホワンとした雰囲気の持ち主だけど、ハっとするような斬新なフレージングや最先端の音を時々入れてくるのが、どことなくミスマッチで楽しい。 ちなみに、ボルコのニュー・アルバムはサイン入りでゲットできるよう、本人にも頼んであります。 まったり座っていたのと、私のテーブルの周囲がすごい人になってしまって身動きできず、このような写真しかなくて失礼。 次はどうしようかと考えたところ、風がまだすごいのであまり動きたくないものの、ランドロマット・カフェなら普通でも歩いて2分なので、その程度なら強風でも歩けるかと向かいました。 この強風なので、食+音楽の一石二鳥を狙う人が多いのか、オフ会場にしては混み混み。やっとのことで席をゲットし、そこに登場したのが ミラ・ロゥス 。彼女は現時点では配信のみのアーティストだけど、ビジュアルが印象に残っていたので、ぜひ聴いてみたいと思っていました。 彼女もとてもいい感じのシンガーソングライターで、アイスランド人としては割合よく出逢う、ちょっぴりハスキーで落ち着いた歌声。会場がガヤガヤとウルサイので、結構過酷な状況。こういうシンガーソングライターは、静かなところでじんわりと味わいたい。 その後、風がマシになってきたので、ホテルに直帰せず、小物の買い付けの下見に行くことに(この話はまた後日)。 さて、フェスもこの辺になってくると、私のお年頃の関係もあり、随分と疲れてきます。なので、あまり活動し過ぎず、ここは一旦ホテルに戻り、少し横になりたい。でも、ホテルに帰っても、今度は買い付けのアレンジや連絡事項をこなすことで忙しい。 今回のアイスランド・エアウエイブスは、取材とフェスを完璧に分離させたのでその分は楽だったけれど、買い付けとフェスが重なり、これが問題だったかも。あれこれの都合により、どうしてもそういうタイミングになってしまったので仕方がないか・・・。 さてさて、アイスランド・エアウエイブスで一番盛り上がる金曜の夜。本来なら、あそこの会場、ここの会場と渡り歩きたいけれど、風は弱まったとはいえまだ吹いているので、今夜はひとつの会場に留まるのがベター。 となると、場所は同じでも3会場揃ってるハルパへ行くか、大好きなベッドルーム・コミュニティを見に行くか・・・。 うーん、よーくスケジュールを見て、あれこれを考えたところ、ハルパはほぼ見たことのあるアーティストが多いし、会場の密集地でも細かく回るのは体力的も辛いし、それならやっぱり、安心してあれもこれも楽しめる大好きなベッドルーム・コミュニティを見るのが一番いい!ということに。 食べ物が出てくるのが早そうという理由で、ホテルから近いコンビニ兼アラブ料理屋(?)みたいなところに入り、テキトーに頼む。もちょっと美味しいものが食べたかったけど、レストランは待つ可能性があるので避けた。フェス中は仕方がない。 そして向かったのが、私が一番好きな会場の イズノ 。この会場はレイキャヴィクで最も古い劇場であり映画館で、ウッディなフロアと、雰囲気のあるヨーロピアン調の内装が特徴。 イズノにまず登場したのが、新進気鋭のクラシック作曲家・識者である ダニエル・ビャルナソン 。今回はオーケストラを従えず、シンプルにファミリーで演奏。 次は若手のアンビエント・アーティストの ポール・コーリー 。 3-4年前私はヴァルゲイルのスタジオで会っていたらしい。その時から作り続け、このアイスランド・エアウエイブスに合わせて(やっと)デビューアルバム『Disquiet』を発表。 ベッドルームの音楽が持つ雰囲気にとてもよくマッチしていて、いい感じ。先輩(ヴァルゲイルやベン)がガッチリと支えて内容もよく、時間ができたらじっくりとデビューアルバムを聴いてみたいと思わせる演奏でした。 大きなセットチェンジもないため、サクサクとステージは進みます。ソロの、別個のステージなんだけど、大きなひとつのライブのセグメントのように感じるのは、やはりみなが同じレーベルに所属し、演奏者が共通しているからでしょうか。 ヴァルゲイル・シグルズソン のステージでは、新作『Architecture Of Loss』が披露されました(ICELANDiaショップのCDは直筆サイン入りです。これ)。 ここで素敵だったのが、 ヴィオラの ナディア・シロタ 。ニコ・ミュリーと学生時代からの知り合いであり、卓越した演奏技能を持つ彼女が、奥の深いとてもいい演奏をしてくれた。クラシック楽器でありながら、エレクトロニックにマッチした演奏で、楽器自体の奥深さを見せてもらった感じがしました。なので、私は先日のスタジオ・ツアーからにわかナディア・ファンに。 そしてこの人がベッドルーム・コミュニティ・レーベルを支える親分のヴァルゲイル。今回のアルバムはバレエ用ということもあり、クラシック寄り。個人的にはもうすこしポピュラー寄りのやつを聴きたいなぁ。 次に登場したのはニコ・ミュリーが発掘した パズル・ミューテソン(=テリー) 。 私は去年の暮、彼のアルバム『En Garde』にどっぷりとはまりました。だって、超好みなんだもん。今も時々、どうしても何となく聴きたくなる、不思議な魅力のあるアルバムです。 彼の繊細な歌声を、これまた繊細な演奏が支えます。これを見ながら思ったのは、ゴージャァ〜ス!だって、ピアノはテリーのアレンジをしたニコ自身だし、エレクトロの部分はヴァルゲイル。このコンビネーションは、アイスランド・エアウエイブス以外では滅多に無い。 次は ニコ・ミュリー 自身の出番。 ここでは彼の最新アルバム『ドローンズ』からの曲を披露(直筆サイン入りアルバムはこちら)。好き〜!好き〜〜!ニコのドローン、ものすごく好き〜〜!! タイトルはドローンだけど、結局ミニマルみたな感じで、ミニマル現代音楽ドローンというのが正確なところでしょうか。ここでもナディアが活躍。 続いては サム・アミドン 。 彼の最新作『I see the Sign』もニコのアレンジなので、ニコ・ミュリー出ずっぱり!仲の良いアーティストのサポートをするのはきっと楽しいんだろうなぁ。こういうファミリー感覚も好き。ギターにベン・フロストも入ってますね 最先端のサウンドスケープが続く中、テリーとサムのパフォーマンスは、いい意味で普通に楽しめた。それでも、彼らの歌手としての個性はものすごくキョーレツで、放置すると泥臭く土臭くなりそうなところを、ニコが上手に料理して各々の個性を潰すことなく、引き立て、際立て、洗練された音楽に仕上げている。 ーーということで、近年私はニコにぞっこんなのです。 すごく話は逸れるけど、私はゲイが大好き。というのも、男性でありながら、女性的な繊細さを持っていて、芸術家の場合はそれが芸によく現れるから。ニコもたぶん例外ではなく、男性的なダイナミズムの中に、女性的な微妙な繊細さを持ち合わせていて、それがたぶん、私の中の女性的要素と、それから私はどちらかというと男性っぽい女なので、そんなところが陰陽のようにぴったりくるのかな、と。ものすごく物事を単純に言えば、ね。 誰でも自らの中に女性的な部分と男性的な部分を兼ね備えているとはいえ、私は男性一辺倒の男性は苦手で、そういう男性は往往にしてこういった微妙な芸術はピンとこない気配。 こういう世の中なので、ゲイに対する偏見はまだまだあり、(特にいわゆる男っぽい男性からの偏見が強いんじゃないかと思う)きっと人一倍悩んで、人一倍もがいて大人になってきたんだと思うし、それを跳ね返して、その繊細な感覚を生かして芸術の分野で活躍する存在になるというのは、すごくシンボリックだし、だからこそ応援したくなってしまいます。ヨンシーもそのひとり。 そしてベッドルーム・コミュニティ・レーベルのトリを務めるのは ベン・フロスト 。ベンの演奏は夜中の1時からなので、それを避けるためにオフ会場で先日見ておいたつもりが、オフ会場での演奏があまりにもよくて、メイン会場でも見たくなったという本末転倒。 今回のベンのテーマはドラムス。二台のドラムセットで、複雑にリズムを刻みます。ライヒのドラミングみたいな感じではなく、もっとダイナミックでリズミック。でも、単純にダブル・ドラムスにしたというのではなく、ビートがダイナミックに複雑に絡み合い、これが実に感動的でした。ベンも好きだわぁ。私、気が多いわぁ(笑)。 満足して外に出てみるとほとんど風は収まり、いつものレイキャヴィクの顔に戻っていました。(次回に続く)(小倉悠加/ Yuka Ogura) 北欧のニットやキッチン小物、シガーロスのレア盤はここで!↓ |
by icelandia
| 2012-12-05 23:45
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