2009 アイスランド・エアウエイブス3日目(後半):今年の旬はヴァルゲイル率いるベッドルーム勢! |
レポートアップが大幅に遅れていますが、年内には完結したいよぉ(汗)。そしたら、新年からインタビュー・シリーズになります。 今回もICELANDia が旅行代理店の協力を得て、毎年行っているアイスランドの音楽フェス、アイスランド・エアウエイブスのレポートです。 19:30 ご案内時間スタート 最初はみなさん勝手が分からないのか、かなり大勢のみなさんがこの時間に情報を聞きにいらっしゃいましたが、この日はホンの数人。 この日は1-2名だけ。私が分かっている限りの情報をお伝えしましたが、ムームのメンバーにはもう会ってしまったので、会えなかった方はごめんなさい。この日の夜、私は「Trubatrix」(完璧にトラッド・フォーク系)を見に行きたかったので、どうやらこの系統は誰もあまり興味がないのか、行ったのは私のみ。 20:00 でも、粘り気のある彼女の歌声は聞き応えがあり、病みつきになり、結局最後までキチンと鑑賞。私が70年末にアメリカへ行き始めた頃、例えばニューヨークにあったフォーク・シティとか、ヴィレッジ・ヴァンガードまで行ってフォークを聴いていたくらいなので、こういうのは個人的には好み。彼女の歌は、『Trubatrix』のコンピに入ってます。 これは私が見たそのもののパフォーマンス。 先日、12Tonarで会ったアメリカ人男性も、同じくUniを見に来たというんだけど、私と二人で「この女性ってどうも違いますよね」と。で、仕方なく、このパフォーマンスが終わったところで、アーティスト本人に「失礼ですが、お名前は?」と尋ねました。そしたら、Mysterious Martaさんだという。 よく周囲を見れば、確かに壁に新しいスケジュールがあって、当初アナウンスされていたものと変わってしまってる!ギャ〜〜。もうマシュー・コリンズは終わってるだろうなぁ・・・。 20:50 Stereo Hypnosis (Batterid) バッテリッズってどこよ?と思ったら、去年はOrganという名前だった場所。オーナーチェンジで名前が変わったのでしょう。でも、雰囲気は全く去年と同じ。 ここ数日の疲れも結構出ていて、オマケに個展会場を探すのに四苦八苦して使わなくていい体力を使ったので、ドテーっとソファに腰を降ろす。まだパフォーマンスが始まっていなくて早いこともあったので、ソファが空いていてよかった。空腹ではないとはいえ、ブランチを食べて以来、ホットドック一本でいいのか・・・(私は低体重なのです)。 ステレオ・ヒップノシスのコンビは相変わらずで、息子よりも父親の方がかっこいい(?)。それから、この日の昼間、私がメインストリートを歩いていると、突然横に車が止まり、すごくかっこいい男性が「今夜、よかったらこれ見に来て」とステレオのフライヤーをくれた。「Troopa(息子の方)とは知り合いだし、見に行こうと思ってるから」と言ったら、「そうか、知り合いでよかった。あなたの姿を見た時、この人にフライヤーを渡さなくちゃと感じたんだよね」と。 女性も美人が多いけど、男性もかなりかっこいい人が多い国。そんな中でも、この男性は好みだったなぁ(笑)。で、会場では彼が写真を撮っていたので、兄弟か親戚か何かだと見た。イケメン・ウォッチも悪くない。次回アイスランドへ行き、機会があったら誰だか探し出してお茶でも誘おうっと!(笑) 話は逸れましたが、ステレオ・ヒップノシスはちょうどセカンドをリリースしたばかりで、演奏もセカンドから。浮遊感を生かした音の世界はファーストと変わらない。なので、このグループはIdnoで寝っ転がりながら聴くのが一番だなぁ。Batteridって基本的にロック小屋なので、なんか違う・・・。 21:20 Valgeir前説 (Idno) やっぱり私はこの小屋が一番だし、今夜はベッドルーム・コミュニティ・ナイト。 この日は金曜日で、毎年金曜日がメインになるので、どの小屋も音楽カテゴリーで分けて、特徴あるバンドが演奏している。なので、ロック好きにはロック好きがいくべき小屋があるんだけど、私はいつもアンダーグラウンド系に来てしまう。 アングラといっても、ベッドルームはアングラにありがちな支離滅裂ではないし、インディだけど、インディという言葉につきまとうマイナーで貧弱なイメージにもほど遠い。このレーベルは、やっていることが高尚すぎて、お子様向きのメジャーにはなれないというだけのこと。なので、認識している人はものすごく高い評価をしていてーー 例えば親玉のヴァルゲイルはビョークの大切なコラボレーターだし、ニコ・ミューリーはアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのアレンジをしているし、ダニエル・ビャルナルソンは原田知世さんの時もかり出されているし、ヒャルタリンの教会ライブのアレンジも彼。ベン・フロストに至っては、ダニエルとは正反対のノイズの世界で、聴く者の度肝を抜かす作品を産みだしている。 ある意味、これほど音楽的に一貫性のないレーベルは無い。笑っちゃうくらい一人として同じカテゴリーが存在しない。それでも、それぞれが、自分だけにしかできない音楽を作ろうという意欲と、作品として世に送り出して恥ずかしくない高いクオリティを持っていることは、断固として共通している。 こんな贅沢で凄いレーベルは他に知らないし、レーベルとしては一枚岩になっていて、 音楽性が転々バラバラだからこそ、類をみない試みが出てくるところも素晴らしい。 彼らのことは個人的に知るようにもなったけれど、それを差し引いても、大好きなレーベルであることには変わりない。 ------------ 私が会場に着いた時には、割合いい感じで人が埋まっていた。例によって前の方に陣取り、コートを敷物にして床に座る。 ほどなくヴァルゲイルが出て来て、なんだか長々とアナウンスをし始める。要約すれば、レーベルを設立し、こうしてエアウエイブスに出演するようになり4年目。最近はいろいろなことが軌道に乗り、アーティストの数も増えつつある。今年は特にスペシャルで、今までの中で一番力を入れたライブである。その中でもぜひ今年紹介したいのが次に出てくるダニエル・ビャルナルソンで、クラシック界の鬼才であり寵児である、と。 あー、そう言われれば私のこのツアーも今年が4年目で、ベッドルームと同じ時に開始したんだっけ。写真を撮ろうと立ち上がった私にヴァルゲイルは「そういえば、君は4年間ずっと見て来た数少ない人物だよね」と。 21:40 Daniel Bjarnarson (Idno) ミニ・オーケストラ(15名)と共にダニエル登場。のっけから音楽に無関係で申し訳ないけど、ダニエル君、もっと洋服ないの? というのも、前日のヒャルタリンの時はスーツだったけど、彼は背が高すぎるせいか既製服で合うものがないらしく、スーツの袖や丈が短すぎて気になった。今日は自分のライブだし、身体に合わないジャケットを無理に着用する必用もないと思ったのかセーター姿。セーターがいけないというのではなく、やっぱり丈がどうも少し短い・・・。 肝心の音楽は、こういうのを何と言うんだろう。ポスト・クラシックだそうだけど、時にポストロックに通じるようなところもあり、どうも私はアヴァンギャルド・クラシックという言葉が出て来て仕方ない。シガーロスがアルバム『takk...』にアビーロードスタジオを使い、フル・オーケストラでレコーディングしたことは記憶に新しいと思う。その時の指揮者がこのダニエルだった。 いろいろなタイプの曲が演奏されたけれど、印象的だったのはピアノ曲で、非常に繊細で美しく、ゴージャスに盛り上がりでなかなか聞き応えがあった。この演奏でのピアノはニコ・ミューリーが担当。 ハープの使い方も、どことなくオリエンタル風(それともあれが北欧風なのか)でーー私がクラシックをあまり聴き慣れないせいもあるとは思うけれど、細かなところでいろいろな発見のあるライブだった。 彼は2010年2月にデビューアルバムを発表予定。既にヴァルゲイルのスタジオ特製の限定100枚のアルバム『Processions』は出ています。アイスランド国内以外では、ICELANDia音楽ショップのみが扱い。ここにあります。 ダニエルは近年のアイスランド・クラシック界の寵児で、まず数年前にイサフォルド管弦楽団のアルバムで受賞した際に注目され、その後あちこちで活躍し、現在はアイスランド・オペラでの指揮も彼が担当。シガーロスのアビーロードの録音や、前日のヒャルタリンの教会ライブのように、ポピュラー界へも引っ張り出されて、多忙を極めているという(それなら早く、洋服買ってね(笑))。 たぶん、そのうちにビョークも彼を引っ張り出すんじゃないかと思う。単なる私の憶測ですが。 22:30 Tim Hecker (Idno) ちょっと外に出ればスケジュール変更になったUniを見られるかもしれないし、CasioKidsも気になるし、Diktaの成長ぶりも見たいけれど、あちこち歩き回る距離を考えると、体力的にもたない・・・。なので、このままIdnoに居残ることに。 次はカナダからのゲスト・アーティストのティム・ヘッカー。ベッドルームのスタジオへ行った時、アシスタントのミオが「ベン・フロストの小型版」と言っていたけど、まさに! PCからのノイズ演奏で、うわっ、これはどーしよーもなくーーーこの会場しかない!ノイズなのでいわゆるメロディはあまりなく、爆音と静寂のくり返し。なのに何だか気持ちいいのがノイズ音楽の特徴。なぜ気持ちがいいのか、誰か教えて。こういうのは寝るっきゃないでしょう(笑)。 で、ひとりが寝始めると、ぞろぞろとみんな寝転び始める。ダニエルの時から座っていた前の方の聴衆は(私も含めて)、スペースに余裕があるので当然寝る。私はアイスランド・エアウエイブスを2003年から見に来ているけれど、この「寝て聴く」というのは、この会場だけの特徴。なぜかといえば、昔のウッドフロアなので、床がやわらかく、いい感じに振動するんです。これが気持ちいい!! なので、スキあらばIdnoでは寝ようと構えているため、この会場に来る日はなるべくクッション製のいいマフラーや手袋を持ち歩き、バッグの上にそんなのを置いて枕にします。 あぁ、爆音と振動がすごく気持ちいい。簡易ボディソニックみたいなものですね。なんかホント、半分眠りながら聴きました。なので、終わった時は「お願い、もと演奏してこのまま眠らせて」状態(笑)。そういう人が多かったのか、みんな演奏が終わっても横になったまま、ボケーとしていて、上の写真のような感じ。 23:50 Nico Muhly(Idno) 去年はダブルブッキングでどうしてもアイスランドへ来られなかったニコ君。今年はちゃんとやってきました。オフ・ベニューでの演奏はピアノとPCだけでしたが、メイン・ステージでは助っ人(トランペット、ヴォーカル)のヘルギが登場! ヘルギは以前からベッドルームのライブに出ていて、何となく馴染みの存在なのに、ベッドルームからのアルバムがないため、これまで認識不足だったけれど、今年の春頃にアルバム『for the rest of my childhood』を発表して状況が一変。 そのジャケがシガーロスの『Takk...』のアルバムカバーをカラーにしたものだったので、最初はジャケ買いだったけれど、内容がアイスランド好きにはたまんない。私が知る限り、シガーロス・ファンはほとんど間違いなく「ツボ!」だと言ってます。 ヘルギの歌声を聞いて、ヘルギ用にニコが書き下ろした「Wonders」という曲を披露。この曲を聞いてもよくわかるけれど、ヘルギはヨンシー張りに高音がきれいで艶やか。中音域はハスキーで、声そのものに表情のあるヴォーカリスト。アイスランドが生んだ知られざる逸材です。 アレンジャー、コンポーザー、ピアニストとして認知されつつあるニコのニュー・アルバム『MotherTongue』は、ライヒあたりが好きな人にお勧めです。 ハァ〜、ニコとヘルギのコンビはいつ聴いても和むわぁと思う反面、そろそろ体力が限界。次のベン・フロストの演奏が始まるのは夜中1時過ぎになるので、シンデレラの私としては、ちょっと耐えられるか疑問。なので、今年は申し訳ないけれど、ベンはパスさせてもらう。 でも、後日あるベテラン・ミュージシャンに会った時、このライブが「超よかった!」と言われて、かなりショック。私も帰国後にベンのアルバム『By the Throat』を聴いて度肝を抜かれて、うわぁ無理して見ればよかったと激しく後悔。ここ数年で最も衝撃を受けたアルバムで、これこそライブで聴かなきゃダメでしょ!と自分を叱りました。 24:50 ホテル帰宅 あ”〜、今日も一日充実していたけど、とにかく長い。夕方はホットドック一本食べただけで、あとは飴玉で済ませた。ホテルに帰り、昨日の夜に買ったFrutiaを飲んで少しだけ栄養補給。あぁ、ビタミン剤を毎日飲んでいてよかった。 エアウエイブスも残すところあと2日間(実質は一日だけど)。何とか持ちそう。風邪が流行ってるけど、風邪も貰ってないようでホントによかった。 エアウエイブスは毎年あれこれと傾向が異なり面白い。でも、私自身の楽しみ方が凝り固まってきてしまった感じがしないでもないので、来年はもっとハジけたものでも見ようかと少し反省。とはいえやっぱり、ベッドルームは大好きなので止められないよなぁ。キッチン・モーターズが活発にやっていた時代は、キッチンが面白かったけれど、今は断然ベッドルーム。去年はキミ・レーベルが面白かったっけ。 それにしても、総人口32万人で、よくこれだけ才能のある人物がドカスカ出てくるよなぁ・・・。<次回に続く>(小倉悠加/Yuka Ogura) アイスランド国内でしか見つからないものも、ここならある↓ アイスランドで大人気! 今なら期間限定お得なお値段で購入できます(1月半ばまで)↓ |
by icelandia
| 2009-12-27 13:53
| アイスランドってどんな国?
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Comments(2)
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by
Nao
at 2009-12-28 20:16
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はじめまして。よくブログを拝見させていただいています。
今年ははじめて、アイスランド旅行もかねて、Iceland Airwavesにも行ったのですが
レイキャビクを歩いているときに、小倉さんに10回くらいすれ違ったのです!!(小さい街だからですかね?)
声をかけてみればよかったーとおそばせながら後悔していますー!
結構、見たアーティストも被っているし、余計後悔です(笑
今年ははじめて、アイスランド旅行もかねて、Iceland Airwavesにも行ったのですが
レイキャビクを歩いているときに、小倉さんに10回くらいすれ違ったのです!!(小さい街だからですかね?)
声をかけてみればよかったーとおそばせながら後悔していますー!
結構、見たアーティストも被っているし、余計後悔です(笑
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by
icelandia at 2009-12-30 23:59
Naoさん、コメント有り難う御座います。うれいしです!そうですか、レイキャヴィク市内では相当すれ違っていたのですね。日本人だろうと分かっていても困った様子でない限り、あまりお声をかけることはないので(ひとりの時間を楽しんでいらっしゃるかもしれませんし)、声をかけていただければよかったですね。次回はぜひ!