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execitemusic
本レーベルは、Excite Music Store及びモバイルコロムビア上で先行独占展開され、配信される楽曲は、国内で入手が困難な高いクオリティのアイスランド楽曲を幅広いジャンルで集めていきます。
レーベルリリースの第1弾は、ヨーロッパでは名高いアイスランドJAZZを展開、第2弾は、アイスランドPOPS、第3弾は、アイスランドクラブミュージックを展開していく予定です。
小倉悠加
(おぐらゆうか Yuka Ogura)
70年代半ば洋楽に目覚め、単身アメリカへ留学。大学時代から来日アーティストの通訳に従事し、レコード会社勤務を経てフリーに。以来、音楽業界で幅広く活動。カーペンターズの解説の殆どを書いているためカーペンターズ研究家と呼ばれることも。2004年自らアイスランドの音楽を扱うアリヨス・エンタテイメントを設立。ミュージック・ペンクラブ会員。
小倉悠加

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100回記念:アイスランド国内でのビョークの評判&私感
 なーんと今回の投稿で、ちょうど100回目のブログとなります。いつもICELANDiaのブログへお越しいただき本当に有り難う御座います。それに、アイスランドの音楽を専門に扱うレーベルということでブロガーズに参加してから、12月でちょうど一年になります。少しでもアイスランドという国のことや音楽などが、みなさんに伝わっているでしょうか?来年は日本とアイスランドの国交樹立50周年になり、「一年を通じて何かアイスランドがやってるぞ!」という感じにしたいと、他の関係者とも話し合っていますので、引き続きどうぞよろしく!
 
 100回記念として、今日はアイスランド出身で世界的に最も有名なビョークについてを。
 
 アイスランド人はビョークをご近所の人としてそっとしてあげています。特別扱いしないので、混雑したバーの前で、スーパーの袋をぶら下げて列に並んでいるビョークを見かけることも。それにアイスランド国内では最高に人気のあるアーティストでもありません。もちろん、ある程度の人気はありますよ。でも、シガー・ロスにしてもアイスランド国内でツアーをしないため、「世界が騒いでいるがよく分からない」という人も少なくないのが事実。海外で騒がれているその人気が、アイスランド国内に逆輸入されている感じです。なにせアイスランドでビョークやシガー・ロスのアルバムを最もよく購入しているのは旅行者だし。
 
 ビョークについてアイスランド国内で見聞きしたあれこれを書き連ねればーー
 アイスランド人は心のどこかにビョーク=国際的有名人というのがあり、例えば私の友人はある寒い冬の日、こんなことを言っていました。「さっきはヒヤっとしたわ。急いで歩いていたら、角のところでビョークにぶつかりそうになっちゃった。道が凍ってツルツルだったから、ぶつかってケガでもさせたら、国際ニュースのネタよね。おー、危ない!」。
 それから、アイスランドで最も動かしにくい人物がビョークで、例え自国の国家元首から直々の依頼であっても、やってくれるかどうかワカンナイ。これについては政府高官の誰に尋ねても同じ答えで、もっとも政府高官などよりも、ビョークにちなんだ人々に直訴した方がいいのかもしれませんが。ビョークはビョークの道を行く。ま、それでいいんだけど。
 
 彼女の家はレイキャヴィークの中心街から徒歩数分のところにあり、私にビョークの家を教えてくれたのは、カラシのオマールでした。カラシが去年リリースした最後のアルバム『ゲリラ・ディスコ』をレコーディングしていた頃に、チューレ・スタジオから中心街にあるレストランへ行く途中、「ほら、あの青い屋根がビョークの家だよ」と。
 ビョークと小中学校が同じだったという人も知り合いにいて、「ちょっと風変わりな子でね。僕、中学生の時にビョークを虐めた覚えがあるんだ。今は反省してるけどさ」と。
 
 ビョークがこれほど世界的な人物になったことに関しては、たぶんアイスランド人の多くが心の中ではうらやましがっているのではないでしょうか。誰もそのようなそぶり口ぶりはしませんが、「ビョークの活躍?別にいいじゃないの」と無関心を装いつつ、自分もそんな風になりたいものだと思わないミュージシャンはいないことでしょう。
 
 私自身は後発のビョーク・ファンです。ビョークの真髄は『Hyper Ballad』に集約されていると思っています。だって、あれはアイスランド人独特の自然観そのものですから。
 
100回記念:アイスランド国内でのビョークの評判&私感_c0003620_20402281.jpg でもモーレツ(<--死語!)に好きなのは『Vespertine』です。ごく親密な内容とサウンドの感じが大好きですが、内容が親密すぎてコソコソっとひとりで聴きたい。
 いつも思うは、『Vespertine』の内容が男性に分かるのか?ということ。女がほとんど誰にも絶対に語らない深い部分をモロにさらけ出していて、初めて聴いた時には、自分の秘密を明かされたような居心地の悪い思いさえしました。今は、あぁ、やっぱりみんなそう感じるのね、という安心感になっていますが。
 
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 ビョークのこのアルバムを聴いた時の疑問は、「いったいこの人は誰を好きになっているのだろう?」ということ。余計なお世話ですよね。分かってます。
 でも、ここまで赤裸々な感情が出るには、誰かを熱愛していない限り絶対に無理。そしてその相手がアメリカの現代美術の代表格であるマシュー・バーニーだと知った時に、全部納得。数多くの恋愛の末に、自分にはこの人しか居ないという人物に出会って、サッと子供まで作ってしまうというのは、ほとんど大人のお伽噺のよう。女としてうらやましい限りで、聴けば聴くほどその心情は響いてくるし、そのような恋愛が成就すれば、人間としてさぞかし充実するだろうと思うのです。
 
 その頃からのビョークは以前にも増して、ミュージシャンというよりも、芸術家としての傾向が益々強くなっていきました。ビョークは常にコラボの人で、様々な人材を起用するのが上手でしたが、近年特にビジュアル面で今までにない繊細さが出てきたのも、マシューの影響でしょう。そしていつこの二人がいつ本格的にコラボレートしたのが『束縛のドローイング』という作品。絶対に東京にも来てほしいなぁ。金沢まで行けなかったから。
 
 そして近年のビョークとマシューを見て思い出さずにいられなのが、ジョン・レノンとヨーコ・オノ。西洋と東洋、陰と陽の調和をとても分かりやすく体現していた世界的な芸術家カップルで、世界平和の象徴を担っていたと思います。その役割をこれからはビョークとマシューに期待したい。このふたりが声高に平和を叫ぶことはないと思いますが、既成概念を壊して進むという点では、どちらも革新的な存在でしょう。 (小倉悠加)
100回記念:アイスランド国内でのビョークの評判&私感_c0003620_20415463.jpg

 
 *マシューのスカルプチャーの写真は2003年5月、『クレマスター』がアイスランドで展示された時のもの(下手な写真は私が撮ったものです)。マシュー本人を招待してのオープニングで、たまたま私も見ることができました。
 *どうぞICELANDiaの母体、アリヨス・エンタテイメントのサイトにもお立ち寄りください。100回記念:アイスランド国内でのビョークの評判&私感_c0003620_22263649.jpg100回記念:アイスランド国内でのビョークの評判&私感_c0003620_13213440.gif
by icelandia | 2005-11-23 20:43 | Pops | Trackback(6) | Comments(9)
Tracked from 現象学 便所の落書き -.. at 2005-11-23 21:45
タイトル : ビョークとマシュー・バーニー
100回記念:アイスランド国内でのビョークの評判&私感 アイスランド音楽のサイトを久しぶりにのぞいたら、ビョークのアイスランドでの受容とともに、マシュー・バーニーの話が出ていた。誰かと結婚して子どもがいることは知っていたがプライベートに興味があるわけでもないので気にしていなかったが、マシュー・バーニーなのですね。 この人についても詳しく知っているわけではないのだが、何年か前の夏にたまたまピカビアを見に行ったパリの市立現代美術館でクレマスター5を「気持ち悪いな」とおもいつつ暇だったので全部見てしまっ...... more
Tracked from ポコアポコヤ at 2005-11-24 17:55
タイトル : エターナルサンシャイン感想と、ビョーク(Bjork)
Eternal Sunshine of the Spotless Mind エターナルサンシャイン映画館で見ることが出来ずに、レンタルで見ました。自分の忘れたい記憶を消してくれる会社がある・・という不思議で面白い内容+ミニシアター系の雰囲気+出演者が有名な大御所が多いという映画。部分的に気になる所や、あれー?って点もあったけど斬新さと新鮮さとが、上回っていて、結構面白くみれました。開始5分で、もうこりゃ好き確定かも・・・って思いました。あの舞台は、ニューヨークなんですってね!私は勝手にここはカナダの片...... more
Tracked from キネオラマの月が昇る~偏.. at 2005-11-24 18:06
タイトル : あのビョークがベタ惚れの俳優
10年位前に、某雑誌で見たビョークのインタビュー記事。日本人の映画俳優で好きな人はいますか?との問いに、「なんてったってTAKESHIよ、タフでマッチョでセクシーでもう大好き!」と、のたまっておいででした。え、TAKESHIってまさか、うちのタケ坊(←身内気分)のこと!?とびっくりしたり、こそばゆい思いをしたり・・・。なんか、「タフでマッチョでセクシー」なんて誰のことかと思いますよね。カート・ラッセルとかラッセル・クロウとか(ラッセル尽くしかよ!)、その辺の俳優かと思っちゃう(笑)。日曜日に『座頭市』...... more
Tracked from 飲んだくれ絵日記-vol.2 at 2005-11-24 20:44
タイトル : NRW-Forum:マシューバーニーきたー。
下にも少し書きましたが、先日NRW-Forumというアートギャラリーに行ってきました。NRW-Forumちょうど、「Schuhe &#8211; Shoes &#8211; Chaussures」という展示が終わりそうだったのと「Video II: Allegorie」を見るため。「Video」の方を先に見たんですが、「Shoes」の方を先にコメントしますね。この「Shoes」展、横っちょの画像を見て、感の良い方ならもうお分かりかもしれませんが、Manolo Blahnikのデザイン(画像がそうです。...... more
Tracked from キネオラマの月が昇る~偏.. at 2005-11-24 21:22
タイトル : 「タンポポ」 伊丹十三監督
何で急に「タンポポ」の感想かというと、ビョークが一番好きな邦画に上げてたんだよね。 なんかビョークが好きって言うのも判る気がする。なんていうんだろ、奇妙な味の映画だったよね。 未亡人タンポポの営むラーメン屋を、流れ者のトラック運転手のゴローが立て直すというメインのストーリーはあるんだけど、挿話的に入れられてる話のほうが心に残ってる。 例えばこんなシーン。病弱で子沢山の母親が瀕死の状況で床についてるんだけど 「おい、母ちゃんメシ作れ!」って父親が言うとフラフラ~ッと起き出して、チャーハンを作るんだよね。...... more
Tracked from 画家たちの饗宴 at 2005-11-27 07:34
タイトル : ゴールデン街のCREMASTER (M.B.S.D.2)
2002年に公開された「クレマスター3」で全5作が完結するまで、マシュー・バーニーは作品についてのコメントを一切受け付けなかった。それは展覧会カタログにおいても同様で、スチル写真と若干のテクストをのせる程度、作品を説明するようなものは皆無といっていい。そのせいかは知らないが、各作品が発表されるごとに様々な解釈が横行した。たいていは「なんか分からないけど凄そうだぞ」という興味本位の記事が多かったが、徐々に全貌が明らかになるにつれ、精神分析家たちの参入が相次いだ。新宿歌舞伎町裏手にあるゴールデン街、ここに...... more
Commented by じょうた at 2005-11-24 00:19 x
100回記念おめでとうございます。
アイスランドとの国交樹立50周年とは、知りませんでした。
なんか歴史を辿って、調べてみたい気分です。
ビョークを、まわりの住民がそっと見守っている風景を書かれていて、アイスランド人の人柄を見れた気がしました。
私も、『Vespertine』の曲が好きです。
最近まで好きではなかったんですが、自分がもっと前を見なくちゃって思った時に聴いたら、とても自分の身体に浸透してきて、訳を見たら感じたことと同じですごく嬉しかったです。

私も「サッと」子供を産もうと思いつつ、でもなかなか決心はつきません。結婚しないでも育てあげ、相手の人とも良い関係でいられるのは素敵です。
ビョークの歌や歌い方を見てると人柄がもう出てますよね。
私も今度Something Wrongを持って・・・(以下略
Commented by latifa at 2005-11-24 17:57 x
こんにちは、はじめまして。TBありがとうございました。
色々普段のビョークの事(すごく面白かったです)等他、
大変興味深く拝見させて頂きました(^O^)
Commented by ラビット at 2005-11-24 20:50 x
はじめまして。TBありがとうございます☆

Icelandといえば、ビョークと共にGusGusを思い出してしまいますが、Icelandでの彼らの評価ってどうなんでしょうか・・・
ビョークが国家元首・政府高官からのお呼びがかかっても・・・ってのが 彼女らしいな~って感じでわかる感じ。
しかし、マシュー・バーニーとビョークの子供って、なんだか末恐ろしい気がします。
Commented by urag at 2005-11-25 01:08
こんにちは。先日は拙ブログにコメントをありがとうございました。こちらこそお世話になっております。ビョークは聞き流すよりも眼を閉じて没入して聞くのが好きな私です。また遊びに来ます。
Commented by パン子 at 2005-11-25 08:55 x
初めまして!TB有り難う御座います!

ビョークがスーパーの袋を下げて歩いてるって所が凄い!本当に普通の暮らしをしてるんだなぁって思いました。普段のビョークの事がわかって面白かったです。

また、遊びに行きます!
Commented by パン子 at 2005-11-25 08:56 x
URLを載せるの忘れてました。
Commented by bardens_hiro at 2005-11-26 06:44
初めまして、TBありがとうございます。
ビョークの大ファンになってしまいそうです。
カーペンターズのアルバムのライナーをみてびっくりです。
Commented by mwaka71 at 2005-11-30 00:46
初めまして。僕がビョーク好きになったのは<ダンサー・イン・ザ・ダーク>を観てからですから、まだまだ新参者です。そんな新参者がちょっとだけ書いたビョークのこと(シュガーキューブスのこと)についてわざわざトラックバックしていただき、ありがとうございました。
また寄らせていただきますので、よろしくお願いします。
Commented by shippy_starriot69 at 2005-12-27 04:23
こんにちわ、ゆうかさん♪
後からこの氷の国の歌姫の書き込みに気が付いてじっくり読ませて頂きました。今まで私がアイスランドの方々に関して深く印象を持っているのは決して相手が著名人であろうが並大抵とはかけ離れていても変に好奇心を働かして干渉しないところですね。そこらへんが共感を持てますよね♪このブログを読んで吃驚したのですが、bjorkて学生時代、級友から苛めを受けていたんですね。私は14歳の頃から今に至るまで、debutを聴いて以来bjorkの大ファンで
彼女のインタビューを雑誌やテレビで読んだりしましたが、学生時代についてはそこまで触れていなかったので、意外です。
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